気功と武術は目的が異なるため、分けて考える必要がありますが、多くの共通点があることも間違いありません。特に中国の伝統的な気功の老師たちは必ずといっていいほど武術鍛錬も同時に行って修めています。
日本武道においても「気合」や「気迫」といった言葉があるように、常に「気」を意識してきました。鍛錬においても、例えば「站椿功」は気功においても武術においても必ず行う基本鍛錬であり、日本武術ではそれを「立禅」や「四股」として同じ目的で鍛錬しています。
私の考えでは、気功においての「気」と、武術においての「気」は表裏関係であり、その本質は同じものと捉えます。「気」の作用を健康養生や社会生活に活かせば気功法となり、護身や攻撃に用いれば武術となります。そういう意味では気功と武術は陰陽関係です。
しかしその最終的な目的は人間性を高め、天地の理に即した生き方をするための「道」に至るためのものです。なぜなら「気」を知り会得するということは、森羅万象の法則を学び、その流れや動きに即した活動を行うことになるからです。
よって、気功であっても、武術であって、それを極めた人は例外なく人格的にも完成する真の大人(たいじん)となります。実際、武道を極めた高段者は皆人格者が多いですね。
気功と武術のちょうど中間に位置するものとして太極拳があります。
太極拳は元々は非常に実践的な武術体系であり、多くの流派(家)によって発展進化してきました。その武術理論は非常に優れており今日まで引き継がれていますが、同時に養生健康法としても高い効果があることが長い歴史の中で認められています。
それは太極拳のもつ動きが、人間動作としても理にかなっており、自然の法則を体現した「気功法」としての面も同時に兼ね備えているからです。
「健康」を目的とする気功法と、「殺傷」を目的とする武術という、一見相反したものですが、そこに共通する「気」の性質が「陰陽」であることを考えると、「気」の作用をどのように使うかの違いだけであって、その本質は同じだということになります。
今日も最後までご覧いただきありがとうございました。
すっかり日が暮れるのも早くなりましたが、体調には気をつけて明日もいい一日にしましょう。グッドラック!
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